カテキョーをヒットする~大女は家庭教師の夢を見るか?~

         一 F女子に合格してほしい。あたしもしたい。母子の利害が合致して、ミリさんが再びうちに来るようになった。以前は中二から中三終わりまで。彼女のおかげであたしは、志望校に合格できたのだった。またミリさんから学べる!それは本当のご褒美。ミリさんは賢いだけじゃなく、めちゃめちゃ優美なんだ。年はあたしより四つ上。しなやかなセミロングの直毛、白い肌、大きな目。身長…

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月刊人柱 終章

結衣は編集長会議を終え、月刊人柱編集部に戻ってきた。次の号は春だという。月刊って、毎月出すから月刊なんですよ?総代には言わずにその場を離れてきたのだ。室内には誰もいない。タツミはまた直帰だ。私はもうタツミの顔さえ忘れてしまった。にしてもなんで次号春。季刊って、変えちゃおうか。それはだめ。表紙デザインは絶対変えちゃいけない。先代編集長・苫屋清三郎の申し送り最重要事項だった。いきなり携帯が鳴った。携…

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月刊人柱 六の章

添付されていた資料にはこうあった。タコ部屋労働の果ての試写が、弔われることもなく労働の場所に密かに埋められることも、広義に人柱と呼ばれていたようだ。これは工事中、公にできる労働者が事故死した場合の、慰霊と鎮魂の思いの込められた人柱呼びとは明らかに一線を画すものである。公の事故死者には、哀悼も慰労金もある。だがタコ部屋労働者として連れてこられた者の死は、明らかにされず、埋葬もされず、ただただ現場に…

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