月刊人柱 終章

結衣は編集長会議を終え、月刊人柱編集部に戻ってきた。
次の号は春だという。
月刊って、毎月出すから月刊なんですよ?
総代には言わずにその場を離れてきたのだ。
室内には誰もいない。
タツミはまた直帰だ。
私はもうタツミの顔さえ忘れてしまった。
にしてもなんで次号春。
季刊って、変えちゃおうか。

それはだめ。
表紙デザインは絶対変えちゃいけない。
先代編集長・苫屋清三郎の申し送り最重要事項だった。

いきなり携帯が鳴った。
携帯にかけてくるのは沖田鋼だけ。
えろすに移った…
えろす。
若い子くれるって話はどうなったのよ。
と見れば、真新しいダンボール箱が、結衣のデスクの上にあった。
新人、自分のデスクわからなかったのか。
あ。
オープンリールも出てる。
あ、電話。
出た瞬間に沖田は切ったようで、携帯からは無情のツーツー音だけが出ていた。
そうか。
新人は来たのだ。
来て、オープンリールに触ったのだ。

沖田にもう一人もらおう。
えろすには根っこの生えたお局がいると聞いた。
それもらおう。
結衣はデスク上の、新人の私物のダンボール箱を床に置いた。
程なくして、それは消えた。


                 完

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